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研究内容

(1) 新規抗がん剤の開発 (有糸分裂キネシンEg5の機能性阻害剤の開発)

癌細胞では細胞周期が制御不能になり細胞分裂が進行します。この活発な細胞分裂に密接に関わっていのが、キネシンEg5です。これらは細胞分裂期の紡錘体の形成を行っています。これらのキネシンの働きを特異的に阻害すると癌細胞は分裂できずアポトーシスを誘導して死滅します。従って、キネシンEg5はがん治療の標的分子であり、副作用の少ない新しい阻害剤の開発が注目されています。そこで、この情報を元に下記の研究プロジェクトを進めています。

 

1-1. AI創薬企業との連携による有糸分裂キネシンEg5の新規阻害剤(抗がん剤)の研究

AI創薬を手掛ける米国企業ATOMWISE社(San Francisco, CA USA)のキャンペーンプログラムAIMSに採択され AIスクリーニングで得られたキネシンEg5阻害剤候補の97種類の化合物に関して、結合部位の解析と構造からグループ分けを行います。そして各グループごとに生化学的手法でEg5-ATPase活性阻害と微小管滑り運動阻害活性を測定して、効果的に作用する阻害剤を特定して、そま阻害機構を明らかにすることを行なっています。 

1-2. 有糸分裂キネシンEg5の光応答性阻害剤(光スイッチを持つ抗がん剤)の研究 

正常細胞でもこのキネシンは働いていますので、癌細胞周辺で特定の波長で活性化、非活性化する阻害剤があれば、副作用を低減した効果的な抗癌剤になり得ると考えられます。そこで、この研究プロジェクトでは、光可逆的に阻害活性を示す阻害剤を合成して低い副作用の機能性抗癌剤の開発を試みています。

(2) 染色体構造・遺伝子発現の人工的光制御 (クロマチンリモデリング酵素の光制御) 

クロマチンリモデリング酵素はATP依存的にヌクレオソームの構造を変化させ、DNA二重鎖へのDNA結合タンパク質の集積を制御することによりDNAの転写、複製、修復など細胞生存に必須な活動を制御しています。またすべてのガンの20%が、この酵素の変位に依存しており、ガン治療の標的因子と考えられています。クロマチンリモデリング酵素は、その作用機構からDNA上を動きながらヌクレオソームの構造を変化させるATP駆動型の分子機械であると考えることができます。本研究では、クロマチンリモデリング酵素の機械的な仕組みを明らかにし、その機能部位に人工的な光スイッチ機構を導入して細胞機能を光可逆的に制御することを試みています。 

(3) 細胞内情報伝達を担う生体分子機械 Gタンパク質の光制御・イオン制御

Ras蛋白は低分子量G-蛋白の一つで、細胞内情報伝達に関与しており、細胞増殖を調節しています。このRasに変異が起こると細胞周期が制御できず癌を誘導します。本研究では細胞内情報伝達を担う分子機械であるRasの機能部位に光やイオン制御ナノデバイスを導入することにより、細胞内情報伝達を制御する研究を行なっています。

(4) 酒米米粉デンプンを利用したバイオプラスチックの開発

吟醸酒を製造する過程で酒米の約50%は削られ大量の副産物の米粉が発生します。その米粉は有効活用されていないのが現状です。当研究室では、食品ロスを減らすことを目的として、酒米米粉デンプンの構造と性質を分析して、その特性に適した加工製品を開発することを試みてきました。これまでに、スイーツの製品開発に成功しています。その開発過程で、プラスチック代替品とバイオプラスチック材料へ利用できる可能性を見出しました。本研究では、酒造会社、地域のプラスチック成型企業、食品メーカーと連携して、酒米米粉を利用したプラスティク代替品とバイオプラスチック製品開発の基礎研究を行なっています。プラスティク環境問題は、最近世界的に注目されている重要なテーマであり、対応が急がれています。開発したプラスティク代替品とバイオプラスチック製品を地域で活用することにより、プラスチック環境問題解決においてSDGsに貢献することを目指しています。

(5)プラスチックを分解するバイオナノマシーンの開発

​サンプルテキスト

(6) その他  

光駆動型分子機械の開発、光応答性ナノデバイスの開発、ドラッグデリバリーの開発などナノサイエンスの先端的研究が進行しています。

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